歴史のロマンと謎が詰まったアレキサンドリアの灯台に魅せられて
歴史のロマンと謎が詰まったアレキサンドリアの灯台に魅せられて
古代の図書館、、海底に眠る女王の宮殿、そして巨大なファロスの灯台。プトレマイオス朝エジプトの首都であり、クレオパトラも愛したと言われるアレキサンドリアは、歴史のロマンがひそむ都市として有名です。世界七不思議のひとつ、アレキサンドリアの灯台を紹介します。
世界の七不思議、まぼろしのアレキサンドリアの灯台
建造年:紀元前3世紀(14世紀に崩壊)
建造場所:エジプトのアレキサンドリア湾岸、ファロス島
高さ:約134メートル
アレクサンドリアの灯台は、世界七不思議に数えられる建造物です。プトレマイオス朝エジプトの首都として、貿易や学問の中心となった都市アレクサンドリアに紀元前4世紀から紀元前3世紀にかけて建てられたもので、ギザの大ピラミッドに並ぶ巨大建造物であったといわれます。しかし、8世紀の地震や14世紀の2度の地震によって崩壊してしまいました。
アレクサンドリアの灯台に関する伝説や噂はヨーロッパからアジアまで広がり、美術や著作物に影響を与えました。有名な伝説に、次のようなものがあります。
頂上には、火を灯す巨大な丸いドームがあった。そして、ランプの後ろには巨大な反射鏡が取り付けられていた。この巨大な反射鏡からは強力な光が放たれ、言い伝えによれば、数十キロ離れた舟さえ焼くことが出来たそうである。
灯台の光は約56キロメートル(約35マイル)離れた海岸からも見ることができた
伝説の真偽は不確かですが、少なくともアレキサンドリアの灯台が巨大な建造物として人々の注目を集めていたことはうかがえます。また、アレキサンドリアの海底で遺跡が発見されており、これが灯台のものではないかと研究が進められています。
現在のアレキサンドリア
所在地:エジプト、アレキサンドリア県
面積:2,679平方キロメートル
人口:4,110,015人(2006年)
アクセス:イスタンブル経由でボーグ・エル・アラブ空港へ、またはカイロからバスで約3時間
かつて学問と商業の中心地として繁栄したアレクサンドリア。現在は、工業都市として発展を続けています。「地中海の真珠」とも呼ばれる現代のアレクサンドリアは、エジプトやイスラム圏らしい白い壁の建物が建ち並び異国情緒を醸し出しています。その一方、路面電車やサッカー場など、欧米風の爽やかな一面も持ち合わせている都市です。
カーイト・ベイの要塞
アレクサンドリアの灯台跡に建てられた15世紀の要塞。現在は博物館として公開されている。
アレキサンドリアの灯台があったといわれる半島には、14世紀に崩壊した灯台を利用して15世紀に建てられたとされるカーイト・ベイの要塞が残っています。もとはマムルーク朝のカリフが建てた要塞でしたが、現在は軍事博物館として観光スポットになっています。
アレキサンドリアの灯台は海の底に?アレクサンドリアの海底遺跡
1996年、アレキサンドリア沖の海底に沈む遺跡が発見された。クレオパトラの時代の遺物が多く発見され、研究と探索が続けられている。
1996年、アレキサンドリア沖の海底にクレオパトラの時代の物と思われる海底遺跡が発見されました。発掘や調査は現在も続き、2009年には「海のエジプト」展でいくつかの遺物が展示されました。アレキサンドリアの灯台の一部のような遺跡も発見されており、灯台が実在した可能性が一気に高まりました。また、クレオパトラに関係しているのではないかと考えられる遺物も見つかっています。
アレキサンドリアの灯台を再現した世界の建造物
アレキサンドリアの灯台は世界の七不思議に数えられているせいか、世界の建造物をミニチュアで再現するような公園やテーマパークで再現されていることが多々あります。本来の灯台の姿とはいえないようなものもありますが、それぞれの国や地域の特徴が反映されているおもしろさがあります。
中国湖南省にあるテーマパーク、「長沙世界之窓」で再現されたアレキサンドリアの灯台。アレキサンドリアの灯台の存在は、13世紀の中国も知られていた。
チェコ・オストラバにあるミニチュア博物館「Miniuni」にあるアレキサンドリアの灯台。
北海道砂川市にある、「北海道子どもの国」にあるアレキサンドリアの灯台。すこし寸胴だが、子どもの目から見れば巨大なもの!
アレキサンドリアの灯台のまとめ
灯台の明かりが謎を愛する人々を呼ぶ
古今東西の人々がアレキサンドリアの灯台の姿を夢想し、絵画や小説に表し、探検にのりだした。
地中海を渡る商人たちを導いたアレキサンドリアの灯台の姿は今はもうありません。しかし、その巨大さと明かりの眩しさは伝説という形で人々の記憶に残りました。どこまでが真実で、どこまでが夢なのかわからない曖昧な存在ですが、アレキサンドリアの灯台は今も昔も人々の好奇心をとらえて離しません。海底遺跡などの調査が進み、灯台の真の姿が明らかになるとともに、憧れやミステリーがより深まっていくといいですね。